さかなの調理

ゲームの感想をだらだら書きます

ラストウィンドウ 真夜中の約束 感想


ウィッシュルームの続編にしてCING最後の作品。会社が生きてたらさらに続いてたシリーズだと思うのですが、今のところこれが最終作になります。

前作でかゆいところに手が届かなかった部分は改善され、ストーリーはより複雑になっています。理不尽に感じたところもありますが前作以上に楽しく遊べました。

あとレイチェル派としては大変美味しいゲーム。

以下ウィッシュルームも含めたネタバレをするのでご注意ください。




前回同様、いわくつきの建物の中をハイドが駆け回り、人々との交流を通して謎を解き明かすゲーム。ホテルに行きあった約10人を一夜で問い詰めていた前作と違い、今作はハイドの自宅アパートが舞台で期間も1週間なので比較的無理のないスケジュールで動いていました。前作同様淡々とした話運びで、感情の動きや登場人物の重い過去も一歩引いたところから見ているのが良かった。

オチの話になるのですが、本作では元敏腕刑事で現在は犯罪撲滅を謳いロス市長選に立候補してるヒュー・スペック(作中ではテレビや伝聞のみでの登場)が実は犯罪組織とつるんでいたことがハイドの父の死をはじめ過去の因縁の多く起点になっています。最終的にハイドはスペックを告発できるだけの証拠を発見し、彼に煮湯を飲まされたマンション住人のレイバー(この人も元刑事)にそれらを渡します。レイバーはまず間違いなく行動を起こすのですが(本人がそう言ってる)、作中でスペックが失脚するシーンは明確に描かれず、市長選には負けたけどこれからも市民のために頑張ります! 的な報道の途中で彼が裏取引に関わっていた盗難宝石の発見が臨時ニュースとして入り、汚職発覚の示唆となるところまででゲームは終わります。勧善懲悪的にスカッとさせないことで、謎が明かされたところで気持ちまで片付く訳ではなく自分の感情とは長く付き合っていかなければならないというハイドの出した結論に説得力を持たせていて良かった。

以上のように本編はグッドとビターの間ぐらいの終わり方をしていますが、小説のエピローグではディランがナイルに消されることもハイドの存在をチクることもなくあっさりバーテンに進路変更していたり、結構甘いところもあります。前作含めナイルは末端を泳がせすぎだし、ダニングの娘も元気そうだったし、この分だとグレイスもブラッドリーもどこかで生きてると思う。私はそういうところも好きですが、硬派というには緩いところが多めです。


システムはちょこちょこ進化してて、画面のどこをタッチしても会話が進むところとか来客・電話・ポケベルへの対応がしやすくなったところはありがたかったです。が、相変わらず歩くのは遅いし次の行動のヒントはその場限りで1番かゆいところが治ってなかった。ホテル・ダスクが横に広い建物だったのと対照的にケイプウエストは縦に広く、日に1〜4階を何往復もするのですが、1番多く出入りする自室が階段と反対側の端にある上にエレベーターも乗るたびにアニメーションが発生するので個人的には移動ストレスが前作以上に高かったです。エレベーターについては雰囲気作りやラストのために必要だったのはわかるんだけどもう少し簡略化できなかったのか…

前作より謎少なめ追及多めでしたが、バランス的には今作がちょうど良いと思いました。特にウィル宅侵入は前作の地下室の難易度を適切にした感じで面白かった。追及も最悪何回かやり直せばクリアできる程度で程よい手応えがありました。

最後の謎だけはちょっと不親切だと思ったし自力では解けなかったのですが、あまり暗号に詳しくないのでパズルとしてどうなのか? というところはわからなかった。総合的には楽しかったです。


前作より登場人物の役割や出番にメリハリがあって、終始ストーリーに絡んでくるワケありな人とあくまで日常の延長線上としてとっている行動が結果的にストーリーを動かす普通の人に二分されている印象でした。だからなのか、全員の行動原理や事情が明らかになった前作に比べるとハイドにとって理解しがたい存在のまま退場する人物が多かった気がする。

人物への愛着は前作のほうが湧きやすく、こっちは推理ADVの王道で人間関係としてもリアルです。この辺りは個人の好みによると思うけど、私はどちらかというと前作派。

ストーリーはハイドやカフェ親子、ハイドの母含め3人いる未亡人、ベティの恋愛の顛末…など出来事の質を問わず「一度倒れたところからどうやって起き上がるか、そのときできた傷とどう向き合っていくか」というところが共通していたと思う。私は不格好でも前向いて生きていこうとする人の姿に美しさを感じるので好きでした。個人的に未亡人って「未だ亡くなってない人」といつまでも死んだ旦那に女性を縛りつける嫌な単語だと思っていて、大家さんは過去を吐露することで、マリーは高飛びすることでそういう負担が多少なりとも減ったととれるので、やっぱり優しい話だと思います。

ただ良くも悪くも前作と着地点が似ているところが多く、フランスから留学してきたお坊ちゃんのシャルルがラストで「実家に頼らず自活する」と言い出したときはまたこのくだりか?? と思いました。ライターのこだわりなのでしょうか。


他に印象的だったのは出番少なめなキャラにも自室のグラフィックがちゃんと用意されていて、細かい部分まで住人の性格に合わせて作られているところで、テキストで語られる部分以外に人間味を感じさせる描写が多くやってて楽しかった。前作より遊び要素が増えたとはいえ基本的にあまり寄り道はしないのですが、こういう端々からサブストーリーを脳内で展開するのも面白い。

あと屋内を探索する際に棚や箱の中身などは3DCGではなくイラストで表現されているのですが、塗りが昔の洋画のポスターのような質感でとても良いです。人工と自然の間にあるような感じ。


キャラデザは相変わらずとても上手いです。不健康な生活送ってるわりにいい身体してるハイド、ちょっとお洒落になったレイチェル、表情が桁違いに豊かなミラと続投組も魅力的ですが、新顔達の破壊力も凄い。特にニコールはあらゆる表情が可愛いという末恐ろしい看板娘です。配膳でウインクされたときはあざとさすら感じた。

女性陣だとマリーのデザインが特に好き。彼女は30代の未亡人で正面から見るとやつれてる感が拭えないのですが、横顔は大変綺麗に描かれています。疲れているけど顔立ちは整っていること、決して派手ではないのに人を惹きつけるところが的確に表現されてる。

男性陣ではディランのあからさまに不快ではないけど監視行動が絡むと途端に不気味になる特性と冴えない見た目の相乗効果が印象的でした。本作の相棒ポジションのスティーブもルイスとはまた違う憎めない造形で、引き出しの多い人だと思います。


そしてレイチェルについて。

前作に比べて互いにデレ度増し増しでライターが舵を切った感があった。ミラと一緒にいるところをからかわれるところもあるしハイドが目に見えて優しいのはミラなので確定とまではいえませんが、それでも恋愛の相手としてはレイチェルを意識してると考えていいぐらいの描写はあったと思います。

前半とか電話するたびに駆け引きめいたやりとりしててこんなに出血大サービスで良いのかと戸惑った。ミラが友情出演レベルの出番で圧倒的ヒロイン力を発揮するのでこれぐらいでやっと互角なのかも。

ハイドが本編で発する最後の台詞が「わかってるよ、レイチェル」なぐらい鬼電してくるだけあって彼女はかなり積極的ですが、意外とハイドからのアプローチもあって良かったです。モーニングコールがエドだったときの誤爆が特に好き…というか寝起きにああいう言葉が出てくるような相手となぜ付き合っていないのか不思議。

マリーの話になったときに焦るレイチェルは可愛かった。ワケあり女性が好み(ルイス談)というハイドのタイプを知っているからこその反応ではないでしょうか。ここは単体でも美味しいですが、ミラに対しては嫉妬とか微塵もなく、むしろ「彼女はあなたを1番信用してるのよ」ともっと丁寧に扱ってやれというようなことを言うのと比べるとふたりにとってミラは娘みたいなものということがわかるのでそういう意味でも重要な台詞。

ベティがレックスを経てスティーブを選ぶときの台詞も示唆的でした。しかしハイドは恋だの愛だの君を守るだの恥ずかしげもなく言ってるくせにエドとレイチェルに対しては全然素直じゃないな……

というわけでライターさんに足を向けて寝られないぐらいてんこ盛りな内容でしたが、お互い余裕かまし過ぎて結局踏み出せずどっちかの今際の際に初めて「あなたがいたから人生楽しかった…」とか手を握って終わる可能性も捨てきれないので油断できない。続編クラウドファンディングとかしてくれたら出資するんだけどなあ。


2作やって思ったのは、脱線や中だるみがなくてほとんど本筋しか追ってないのに人物の人柄や魅力を十分に描けてるシリーズだということでした。これは限られた容量でストーリーを書ききらないといけなかった黎明期のADVに携わっていた人が作ったからこその特長だと思う。

過度に踏み込まないけど突き放しもしない距離感は貴重で心地よかった。これからも折に触れて遊ぶと思います。


次は気分をガラッと変えて『わがままファッションガールズモード よくばり宣言!』です。あと最近やっとVitaを入手したのでそっちも開拓していきたい。

ウィッシュルーム 天使の記憶 感想


今年で発売10周年になるDS推理ADVの名作。発売当時に買ったんだけどクリアせず放置してて(セーブデータ見たらチャプター8で止まってた)、改めて最初からプレイしました。

ゲームの難易度、物語ともに硬すぎずぬるすぎず、落ち着いた雰囲気を楽しめた。遊んだ人はミラ派とレイチェル派に分かれると思うのですが私は後者です。

以下ネタバレしますのでご注意ください。




私はコマンド選択式推理ADVのドラマ性はありつつも淡々と進んでいく物語が好きなのですが、キャラデザはじめこのゲームはそういった作品の良い意味でのドライさを受け継いでいて好きでした。シナリオライターがJBハロルドシリーズの人らしく納得。

ハイドが1時間にひとりのペースでほとんど初対面の人々の過去を掘り起こしていく話なのでリアリティはないのですが、個人的には「ドラマだし」の範疇で流せました。客の間に因縁がありすぎる理由もそれなりに用意されてるし。

作中の時系列もわかりやすく、メモ取らなくても把握できるレベル。シンプル過ぎて腑に落ちない箇所もあるにはある。私がナイルの関係者なら絶対ルイスは始末してると思う。

浅い時間の本題と関係の薄いメンバーから徐々に事件の核心に近づいていく流れは見事でした。ジェフ・「エンゼル」などの引っ掛けもありつつ、タイトルの「天使の記憶」にも数通りの意味が込められていて丁寧だった。

どこ探せばいいのか詰まる以外は中だるみもなかったです。次にとる行動のヒントを見返せないので好きな時に中断しづらいとか歩くの遅すぎとか操作性の悪さは気になった。

タッチペンやDSの機能を使ったミニゲームは道中はやることもわかりやすいし単純なんですが(DS畳む仕掛けは斬新だった)、地下室だけ難易度が跳ね上がって驚いた。一度も気絶せずにルイスに迎えに来てもらえた人いるのかというレベル。豆知識本のハサミをアルミホイルで研ぐくだりにまんまと引っかかって3回ぐらいやり直しました。ここは脱出ゲームとしても結構遊びごたえあったのではないでしょうか。なんであんなド直球な文章入った暗号機がヒントつきで置いてあるんだという疑問はあるけど。

追及パートもラスボスのダニング以外はそこまで難しくなかった印象(と言いつつジェフに1回ダメな大人認定された)。「…うっ」とか「…えっ」という反応に癖があって好きです。


ストーリーは犯罪組織ナイルとそれに関わって闇に消えた数名の人々を中心としていて、よく考えると結構エグい出来事もあったりしますが、基本的には多くの人間関係が親子愛や家族愛をテーマにしていて消化しやすかったです。袖の下もらいまくりの親父に反感を持って家の金持ち出したジェフに対するアドバイスが「自活したら父親も心変わりするかも知れない」なのはどうかと思いましたが、ダニングとローザのエピソードはそれぞれ程よいエモさとドライさがあってやってて心地良かったです。ただ家族至上主義が好きじゃないのであと一件二件ぐらいは関係ないテーマがあって欲しかったとも思う。

ブラッドリーはもちろんグレイスやアランも行方不明のままだし正真正銘ハッピーエンドだった人は本当に少なかった。ハイドが頑張ったってやれることには限界があるけど、最善の結果が得られなくても人間は生きていかなければならない。でもホテル・ダスクでの交流によって宿泊客の人生への姿勢は確実に前向きになる…という結末は地に足がついていて私は好きでした。その中で唯一前向きになれない人がハイドなので本作だけ見ると気の毒ではあるのですが、それも作品に重層性を与えていると思います。


このシリーズの1番の萌えキャラは主人公といわれるように、明らかにダメ人間なんだけど情に厚くカッコいいところも見せ意外に茶目っ気もある…という人間味満載のハイドは魅力的でした。最初にメリッサと喋ってるときはこのままゲームオーバーになるんじゃないかレベルで怒鳴っててどうなることかと思ったけど、話が進行していくにつれてハイド本人も柔らかくなっていった印象。最後のロビーでのルイスとの会話が好きです。

他のキャラもみんな魅力的。

先ほど淡々とした話運びだと書きましたが、人物ひとりひとりの心情や動機は丁寧に語られていて、最終的には憎めない存在だと思えるようになっています。個人的には頭は良くないけど陽気で根の明るいルイスが好きです。

あとこの作品キャラデザが素晴らしくて、ハイドの整ってるんだけど若くはなくて無愛想な顔つきとか、ダニングとローザのいかにも洋画から出てきたようなサイズ感と大雑把な感じをはじめ、(話を進めていく上でふたりとも結構繊細な人だとわかる訳ですが)様々な年齢の男女を見事に描いてると思います。メリッサとミラも他のキャラのデザインとケンカしていないのにしっかり可愛いし、レイチェル・アイリスなどの美人系とも描き分けがされていて本当に上手い。


あと最初に書いたレイチェル派の話。

キャラデザや性格の点で好きなのはレイチェルですが、この物語のヒロインといえるのは間違いなくミラだと思います。元のデザインはもちろん動きも可愛いし、ハイドを慕うようになる理由も説得力がある。

ただ、真エンドの前提となるのが人口呼吸なので「お持ち帰りエンド」とか言われてるみたいですが、個人的にはあんなに大人であることや硬派であることにこだわるハイドが19歳(精神年齢は10歳)の女の子に手を出すのが考えられない…というかミラがハイドを頼るしかない状況で彼女をモノにしたらガチでドン引きです。これを書いてる時点で既にラストウィンドウをやってるのも影響してるけど、ハイドがミラを大切に思うのはあくまで保護者の立場からであってパートナーとしてではないと思う。

レイチェルも推理ADVの補佐役としてはテンプレ造形ではありますが、彼女と話すときのハイドの微妙に緩んだ空気とかこなれた相棒感が個人的にめっちゃ好きなのでなんとかうまいこといって欲しい。この辺りはミラとの信頼関係も含めてラストウィンドウで強化されてるのでそっちの感想で熱く語りたいと思います。本作に触れてるサイトでレイチェルをストーカー呼ばわりしてるところがありましたが電話の内容はほとんどエドからのお知らせとか調べものの結果だからな! 用もないのにかけてきたのは1回だけですよ。回数が異常なのは認める。

ハイドが1時間おきにブラッドリーに心の中で話しかけるのを欠かさないことを考えると本作ではそもそもミラにもレイチェルにも勝ち目はないのではという気もする。ハイドとブラッドリーの過去の話とか読んでみたい。


私が7〜80年代のアメリカ文化や淡々とした展開を非常に好んでいるのもあって、気軽に骨太なストーリーを楽しめる良いゲームでした。次は続編のラストウィンドウです。

セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜 感想


夏が舞台のゲームを夏にやることの意義を感じつつ、業の深い季節だと思った。文句なしに明るい季節だからこそその陰の不安定さや感傷が際立つというか。夏がテーマの作品は夏を終わらせることがベストエンドになるものが多い気がするのですが、本作では彩野さんの症状が治らないため事実上「夏が終わる」ことは永遠にない。その点が謎の解けることのないこの作品の特徴とも重なっていると思います。

以下ネタバレするのでご注意ください。




この作品の評価は重大な情報を提示しつつも語っていたほぼ全てのキャラクターが事実を言っているとは限らないという「信頼できない語り手」、その上で結論が作者から提示されない『藪の中』みたいな話を好めるかどうかにかかっていると思います。あと「セカンドノベル」的には直哉に肩入れするかと千秋を好ましく思うかも大きい。

個人的には真相を推理すること自体は好きだし、気になるところはちょいちょいありつつも物語としてはしっかりしてて面白いなあと思いました。ただ、システム上備えておくべきであろう機能がないことで「真相は自分で考えろ」という最後の指示が腑に落ちない、不誠実なものに感じられてしまい、クリアから一夜明けてモヤモヤしている次第です。

この機能とは見返したいシーンを即座に再生できるシステムで、例えば前記事で感想を書いたinfinityシリーズ+12RIVENでは標準装備でした。伏線を回収することやトリックが作品の根幹にあるゲーム、特に今までに語られていたことをもう一度読む必要のある本作では必須といっても過言ではない機能がこのゲームにはありません。

意図的に入れていないのか、予算や時間など何らかの都合で入れていないのかは判断がつかないですし、作中で大半の物語を作っている彩野がそれまでの物語を総覧できない設定に則ってはいるのですが(物語を文字どおり書き換える様子が再現されてるのはゲームならではだと思う)、この辺りの不便さが作品そのものの投げっぱなし感を強めている気がします。EX2後は閲覧可能とかにして欲しかった。


彩野の生きるために本能的に蓄積される記憶、事故前のものについてもところどころある記憶の空白(今の彩野がどこを覚えていてどこを忘れているのか)など読み手の裁量でどうとでも利用できる設定が多く、作中で事実とされている範囲が極めて可変的なのも私的には据わりが悪かった。

彩野自身の意思や感情によって物語が左右されるように、プレイヤーが誰を贔屓するか、どういう真相であって欲しいかがセカンドノベルに影響する、という構図はよくできていると思います。S7のような直哉中心の展開を良しとする人は由加里先生すら今は直哉のことが好きであり、彼は葛藤こそあれ最後まで彩野を支える決意をした人物だと考えるし、逆に彩野は直哉をずっと好きだったという前提から否定し、意図的に彼女の好意を操作した挙句最後は千秋に鞍替えする結構なクズに仕立て上げる人もいるでしょう。両方ともありえると言えるところがこの作品のすごいところです。

S7を提示した上で後にそれをひっくり返して主人公への信頼度を下げる(ただしそれを示唆する台詞に固有名詞やボイスは抜き)辺りはアンチ主人公ハーレムマンとしては良いところでもあるのですが、こんなに不穏な要素出しといてぼかすのかよ! という落ち着かなさがあり…この辺は私にバッドエンドやビターエンドへの耐性があまりないのも影響してます。

この文章を書くにあたって真面目に私的セカンドノベル考えてみたりもしたのですが、想像以上にまとまらなかったのでやめました。なるべくユウイチに花を持たせたい派です。

結局EX2のifサクラルートとラストCGから展開される「飛び降りや記憶の保たない女性云々のストーリーは実は回復したサクラが創作して文化祭に出した小説であり、現実にはユウイチも生きていて皆仲良くやってる」説を推しています。唯一「秋」にたどり着ける解釈だし何より後味が良い。

しかしあのラストCGでは直哉らしき人だけが制服じゃなくて5年後の社会人仕様なのが気になる。やはり完全に綺麗にオチをつけることはできないという……


読者の判断に委ねるといえば聞こえはいいけれども、このゲームぐらい色んな要素がぼかされると、作り手が創作に対して負う責任をプレイヤーに肩代わりさせてるようにも思える。最近でも話題になった家出少女の扱いや薬絡みの描写がわかりやすいですが(どちらもこの手の作品にしてはだいぶまともではありますがそれでも)、登場人物やストーリーの倫理性、それらに作者のどういう考えが反映されているかといった点が「人それぞれ価値観や結論は違うよね」みたいな万能フレーズで片付けられてしまうのはな〜…これにエピソードを見直しづらい仕様が合わさって、逃げの姿勢をとっているように見えてしまう。

某巨大掲示板のスレも見たのですが、あまりに解釈の自由度が高いために異なる意見のすり合わせが難しくなってて不毛な印象を受けたのも大きいです。上で挙げた評価点と表裏一体な部分ではありますが。


その他、誰が相手でもデート先がファーストフード、プール、夏祭り、プラネタリウムで固定されてるところなどがいかにも娯楽少なめな郊外の高校生というリアリティがあって良かったです。これといって不自由はしないんだけどどこか閉塞感のある感じが終わらない夏の背景として良いなあと思う。誰がどこに行ったか(行かなかったか)を解釈の材料にするのも面白い。


ボイスが重要な演出になってる部分やあえて音声を入れてない部分があるなどボイスONプレイが推奨される本作なのですが、かなり大事な主人公のボイスが棒気味かつ爽やかさに欠ける印象で残念でした。お父さんぽいというか、少なくとも17〜22歳の声ではない。

由加里先生は色っぽくて好きでした。高校彩野を除いて大人しいキャラばかりなのでテンポがゆっくりめなのと再生までのラグが多いのが気になった。


キャラデザとCGはかなり良いと思います。媚びすぎず生々しさの少ない絵で重いシナリオとの相性が抜群だった。

いかにも片手間にデザインした感のある、恋愛対象外で人の良さそうな友人キャラって見た目のユウイチが教師と付き合ってる上に作中で最も掴めない存在という意外性が好きです。先生とのキスCGはとにかく頻繁に出てくるのでもう少し気合い入れて描いて欲しかったな……というぐらいで彼も基本的には丁寧に描かれてるし、もちろん女性キャラは魅力的(千秋のデザインが特に好きです)。個人的には男女問わず肉付きがリアルなのが萌えポイント。


私はストーリーを掴めないことに恐怖を感じるタイプなのでもやもやしましたが、ノベルゲームの特長を活かしており雰囲気もディテール描写も良く、真相を読み手の想像に任せる話が好きな人にはおすすめできるゲームでした。

次は何にするか未定ですが、明るいゲームになると思います。

12RIVEN 感想

「infinityに続く」integralシリーズ第1作と銘打たれたが後が続かなかった作品。

各所での評価の通り、伏線やタネ、キャラの魅力、ストーリーテリングとあらゆる点がEver17に及ばない印象。ただ、個人的には別の意味で収穫があった。

以下、infinityシリーズを含めたネタバレをしているのでご注意ください。





鳴海→錬丸→インテグラルの順でクリア。

Never7Ever17を既プレイ(Remember11はやれてない)で今に至るのだが、前2作で話は面白いけどここは引っかかるなあ…という点が抽出されていた。

トリックについては、SFに疎い私でも引っかかることはそこそこあったのですが、トリックの矛盾とかは発売当時に出たサイトでずいぶん言われてることだし、Ever17感想に書いた通り私が苦手としていたinfinityシリーズのキャラの癖がてんこ盛りで逆に笑えるぐらいだったのでこの記事ではキャラ描写やシナリオ運びについて書きます。


結論から言うと、打越作品をもう手に取らない決意が固まりました。打越さんってドラクエⅤなら断然フローラ派だしバリバリのハーレム容認派で、世の男性オタクのマジョリティはまあそっちに近いとは思うのですが、それにしてもこんなにも強気女性と主人公以外の男性を魅力なく書ける人珍しい。そういうキャラの良さが理解できなくたって成功してる他作家のキャラの真似はできるだろ…。

なおときメモ4の感想群を見ていただければわかるように私は強気で出しゃばりな女の子が好きだし主人公一強は地雷です(そしてビアンカ派)。

キャラ描写については感情がとにかく乗らないということに尽きる。Never7の恐喝主人公や沙紀がヒステリー気味になってるシーンとか、Ever17のココの脱線シーンみたいなのがほぼ全ての登場人物に当てはまる感じで、特にダブル主人公がふたりとも瞬間湯沸かし器なのはキツかった。錬丸さん主人公の肩書きなきゃただのチンピラだからね…

些細なことにキレて大声出したりつまらないギャグでふざけてることが多いためキャラへの萌えや共感が全く盛り上がらず、鳴海ルートで親子がどうの言い出して迫真の感動モードになったときはあまりの感情移入できなさにゲラゲラ笑ったし、スカイツリーの上での決戦は読んでるだけで恥ずかしくなって◯ボタン連打で乗り切りました。

強気スキーからしても鳴海はやはり魅力的とは言い難いのですが、主人公として美味しいところは錬丸が全部持って行き彼氏は淑やか美女の自我に盗られ、唯一彼女を1番に考えてくれる親友はトゥルーエンドでも死んで帰ってこないという散々な状況を見せられると判官贔屓が発動します。鳴海と大手町はエヴァのミサトと加持がモデルなんでしょうが、ああいう関係の良さが理解できないなら入れるなという感じです。実を言うとおんぶシーンでは中の人の演技もあって「おっ」と思ったのですがその後フォローどころか決着すらつかなくて愕然とした。

彼女の分身であるマイナについては、ほとんど唯一暴言吐かない大人しい女性キャラだから相対的に良くは見えるけど、持ち上げ方が恣意的すぎるしオタサーの姫みたいで白けました。しかも結局マイナは錬丸に矢印向けてる訳でね…性格だけ見るとEver17の不遇ヒロインである空さん(ポジ)へのフォローかなとも思うのですが、結局主人公はミュウに行ってるのでそうだとしても不十分。


あと居酒屋でおっさんが言ってるような下ネタがとにかく多い上にただただ下品なだけで意味がないのも辛い。これは上のマイナの好待遇とも関係するのですが全体的にミソジニーがキツ過ぎ。チサトが錬丸に押さえつけられるところ、不自然なほどの恫喝選択肢や強気な態度で性格付けされる一方トゥルールートになると急に大手町にすがる弱い女になる鳴海、男性主人公である錬丸がミュウとメイを超えるチート能力で一人勝ちすることなどなど枚挙に暇がないですが、要するに「女が男に歯向かっても勝てるわけないしそういう生意気な奴は性的にも価値がない」という考えがゴリゴリに見えて女性プレイヤーとしては大変厳しいものがありました。

そして錬丸以外の男性キャラもマッチョイズム全開で活躍しているかというとそんなことはなく…今作で最も不憫なのは間違いなくメイさんだけど、黒幕感たっぷりに登場しながら全てのネタばらしをエピローグに投げられた大手町やキャラデザはじめ何もかもが雑なボスの扱いにも涙を禁じえない。そして中の人の無駄遣い。

Ever17の感想でも涼権骨折り損について書きましたが、これまでぬくぬく生きてきたポッと出に美味しいとこ総取りされたメイさんももちろん不憫だし、今作は登場人物にそれを言わせてるところがまたヤラシイ。しかもミュウがメイより錬丸を頼るのにイラついてミュウをボコるというDV加害者の思考回路としか思えない行動原理でフォローしたつもりになってるので本当に倫理観が絶望的だなと思います。俺TSUEEEEできれば主人公がチンピラでも構わないと考えてるライターだし無理もないのか…


文章も長く難解な説明台詞と笑えないギャグ・下ネタ、ダラダラ喋ってる時間がないときに限って挿入される謎に詩的なディテール描写、バトルシーンのコロコロコミックみたいな語彙が絡み合っておりカオスでした。infinityシリーズからトリックの巧妙さを引くとこういうことになるのか〜という感じです。

Ever17に比べると日常シーンが少ないのでテンポは良く、ADVにありがちな中だるみがなかったのは個人的に良かったです。ただその分ボリュームは少ないしトリックの雑さやキャラ描写のペラさもあるので客観的な長所とまでは言えないかな…

推理モノを遊ぶときにはだいたい思考停止状態でやってるのもあって、ミュウの髪色や冒頭のシーンの日付が違うことは明確にされるまで気づいておらず、普通に驚いたし楽しめました。ただどっちもEver17のリサイクル感が否めないので、やはりスゴイというところまではいかないなあという印象。

これも4次元視点の焼き直しになるけど0.5秒早い識閾下を支配するのがプレイヤーでキャラクターはそこから自由になろうとする→選択肢の指示をきかなくなるみたいなたたみ方は若干期待していたのに、結局Ψに収斂していったのは個人的に残念でした。

私的にはトリックは絶賛するほどでもないけどなるほどなーと思いながら読めて、キャラ描写と台詞回しは論外という感じです。地雷ライターの確立と、あまりにinfinityシリーズで嫌だと思った部分のオールスターだったので今作に関わっていない中澤工さんがディレクションしてる作品は楽しめるのではないかと思えたのが収穫。


声優さんについては、遊々、メイ、真琴の人が特に良いなあと思いました。遊々とメイは振れ幅が広く(特に上でカオスと書いた4パターンの文体(口調)を全てひとりで喋らないといけないメイ)、真琴は葛藤や繊細さの表現が巧かった印象。

あと大手町と鳴海はあまりにもテキストが声の魅力を殺してて中の人達がご活躍されてる別ゲーを無性にやりたくなった。個人的に佐藤利奈さんはアクティブなトーンのほうが断然好きなので鳴海ボイス聞こえてきたときはそれでも嬉しかったです。

ボスの中の人はNever7から数えてもぶっちぎりに豪華な人選ですが、本人比ではいまいちだった。ハードボイルドとは程遠いシナリオやキャラデザが雑なのも大きいのでしょうが。


グラフィックは強いて言うなら鳴海編の人のほうが好みですが30点と35点という感じです。シリアスかつ動きのないシーンで東映朝アニメの中割みたいな横顔出てきたのには笑った。


そんな訳で前評判通りイマイチという残念なゲームでした…キャラの嗜好が私と真逆の人ならそれなりに萌えられるかも? 

次は落ち着いた作品がいいなあということでセカンドノベルをやります。ときメモ4も再開しなきゃ….



ときめきメモリアル4 響野里澄 感想


響野さん、ときメモ4の中では星川さん皐月先輩に並ぶ癖のないヒロインなのでは…? 良い意味で期待を裏切らないシナリオで安心感がすごかった。


第一印象としては見た目が某ファーストチルドレンを連想させすぎるのでキャラデザもうちょい頑張ってという感じだったんだけれども(中身も基本は遠からずだし)、特に複雑な事情のない天然系クーデレなので気負わずに攻略できたのは良かった。ときメモは重い設定持ちの子とそうじゃない子を混ぜてくれるところがいいですね。


すでにプロの作曲家として仕事をしているほどの天才だが、それ故に人並みの高校生からは距離のある響野さんが学校賛歌を書けるのか? というのが彼女のシナリオの核で、好感度次第では1年の2学期には依頼を受けて完成するのが3年夏というほどの難産になる。この手の話だと主人公の助けを借りながら学校行事なり部活なりに参加してそれを通じて友達もできて賛歌完成…という流れが定番かなと思うのだが(鍵でよくみるやつ)、響野さんは最後まで(主人公以外)特に親しい人のいないまま賛歌を作ることになる。

みんなでワイワイする以外にも高校生活の形はあるということを認めてくれているようなところがあって私はこのストーリーが好きだった。まあ響野さんも(実質)彼氏ができたから学校が充実してるので厳密にいえばぼっち充ではないのだが、それでも「学校賛歌とは言えないかも知れません」と言った上でありったけの気持ちを込めた曲にするという辺りが彼女の不器用さを示してて良い。

響野さんはときめいても服や態度がそれほどガラッと変わる訳ではなく、本質は同じなんだけど雰囲気や価値観がどんどん柔らかくなるという方向で変化していく子で、だからこそ普通→友好でヘッドホンが取れることの意味の大きさが心にしみる。あと人によって好みの分かれるところだとは思うんだけど私は響野さんは良い意味でファッションセンスのない子だと思う。彼女らしさにあふれてて愛でられるダサさ。


デートはわりといろいろ行ったんだけど、夢大陸のペンギンがウケなかったのがなぜか一際印象に残っている。キャラ考えたらまあ妥当だなんだけどピクサーとか大好きな人間なので勝手にショックを受けた。

いろんな音が聞こえるからというので繁華街もそれなりに楽しんでたのと、縁日のミニゲーム説明でぼっち炸裂してたのも印象的。ミニゲームのルール説明を全員読んでくれるのはほんと良システム。

主人公を半ばほっといて音に没入してたのがマフラー分け合いに代表される距離感の近すぎるデレデレ展開に一転するので、良くも悪くもまじめにデートしてくれる子が多い本作ではいいアクセントだった。

芸術キャラの宿命だけど、学校賛歌と告白のときの曲が良かったかといわれるとプロとしての作曲ではないという留保つきでも微妙…って感じだった。あとCGスライドショーの演出もいまいち…

でも絶対音感持ちで楽器演奏は一通りでき作曲の天才だけど自分で歌うのは苦手、という設定じたいはわりとリアルで好きだった。


中の人は1クールごとに代表作ができるような破竹の活躍を当時からされてる方だけど、それでも2009年となると初々しいなあと思った。エンジェルビーツより前だもんな…バンナムに魂を売った者としてはディアリースターズと同年なのも感慨深い。後の展開の差も含めて…(血涙) 


全体的に攻略対象としてすごくよくできてる子だと思った。私は自立型で気は強いんだけどどうも素直に甘えられないタイプの子が好きなので響野さんは好みとは少し離れていたのですが、それでも楽しく遊べました。万人向けだと思う。


ときメモ4内の次は意外と本家では珍しい? 不良少女の龍光寺さんですが、いくつか別のゲームに寄り道しているのでそっちの感想が先になりそうです。

ときめきメモリアル4 エリサ・D・鳴瀬 感想


悪い意味でときメモの古さが出てるシナリオだなあと思いました。都子ほどではないけど色々と書くのでご承知ください。



ゲームで「ハーフ」とか民族的なアイデンティティを扱うのは難しいのに、「金髪碧眼の大和撫子って斬新じゃん!?」ぐらいのノリでやってるなあという印象だった。まあときメモに限った話ではなくて、東鳩のレミィから最近ならデレマスのアナスタシアやメアリー、フェイフェイ達に至るまで、ギャルゲーでそういうの真面目にやってると思うことはめったにないのだが。とはいえ、そんな中でもエリサは特にデリケートなテーマを雑に片付けていると思う。


エリサは在日アメリカ(イギリス?)人二世で、生まれた時から宮城に住んでいて、きらめき高校に転校してくるまではそこから出たこともない。英語も喋ることができず、日本人として生きてきたが、見た目は金髪碧眼なので初対面の人からは外国人に間違えられ、本人もアイデンティティに悩んでいる。

以上に挙げた彼女の生い立ちは、シリアスに向き合えばドラマか映画の一本ぐらいは作れそうなものだ。それに明確な答えが出るような問題でもなく一生ついて回る。

エリサは自身の顔立ちや髪色がそぐわないことを理由に縁日や初詣で和服を着てこない。これに関しては花見デートで着物姿の女性を見てたまらず途中で帰るイベント、髪を黒く染めようか悩んでいるところを主人公に「あんぱんみたいな和洋折衷の形もあるし、鳴瀬さんらしい形を追求すればいいんじゃない?」と言われて吹っ切れるイベント、そして初めて振袖で主人公の前に立つ卒業式という形で一連のストーリーになっている。

私はこの流れ自体は好きだ。デリケートな話題だからって一切扱わないというのは違うと思うし、落とし所としても妥当で、主人公との信頼関係と絡める意味でもギャルゲーという媒体を使った描き方としてはよくできていると思う。

ただ、それに付随するイベントがやばい。

たとえばときめき海デートで水着姿のエリサに主人公が感銘を受ける場面がある。シチュエーション的にテンションが上がること自体はおかしくないのだが、そのときの主人公のモノローグが、

「グラマラス金髪美女!」

台無しやん……? PSPに向かって本気で暴言吐きそうになったよね…

確かにエリサらしさってのは金髪碧眼の見た目を含むかもしれないけど、本人を苦しめもするその記号を親しい仲のおまえがステレオタイプに消費してどうするんだ。転校してきてすぐならともかくときめき状態ですよ? 

ホント何も考えてなさすぎてこの姿勢のままエリサと交際すると絶対どこかで深刻な溝ができるぞ。ハルちゃん攻略以来の論外主人公でした。

西洋系の美女がダイナマイトボディでうひょー! みたいなのはせいぜい90年代前半ぐらいまでのノリだと思うけど、それをゼロ年代も終わる頃にポンポン放り込むあたり、ときメモの古さの悪いところが出てる(まあエリサのメインシナリオと海イベントはライター違うんだろうけども…)

修学旅行ハワイのエリサが現地人に間違えられるイベントで、相手が喋ってる英語を「ペラペラペラ…」と表記してそのまま声優に読ませてたのも酷かった。古いし滑ってるし、何より最低限の「外国」へのリスペクトは必要でしょう。ステレオタイプで見られるのが嫌だという話をしているはずなのに説得力がなさすぎる。

文化研究の類をかじっている身なので日本文化の「魂」「真髄」とかいう単語にも眩暈がするんだけどそれは置いても、いくらエンタメの変換があるとはいえ守らねばいけないラインはあると思うのよ…

そんなわけで最初の弁当イベント辺りからずーっとモヤり続けていた。


とはいえエリサ本人は可愛かった。宮城弁はしっかり監修されてたし、遊ぶのが大好きで何事にも真剣なのが良い。

いくつかある和歌イベントをはじめやはり日本文化関係の台詞に力が入ってる印象だったけど、私はむしろ観覧車で退屈そうにしてもっと遊び倒したい雰囲気出してるエリサとか、スキーやスケートでイケイケドンドンになってるエリサが好きだった。剣道絡みも真剣勝負を旨としてて爽やかだったなあ(決着を描写しないところが素晴らしい)

あと彼女も私服のセンスが良い。自分に似合う服がわかってるようなチョイスだった。特にときめき秋服のお団子に簪スタイルはゲーム全体でも屈指のコーディネートだと思う。

まあ若干恋愛脳というか、主人公に重きを置きすぎてない…?ってところも見受けられたのは残念。特にときめき弁論大会は都子よりもエグかった。そういう危うさも含めて「この愛は永遠」というエピローグに、ちょっと大丈夫…??と突っ込みたくなるふたりではございました。でもそのわりに好感度上がると弁当のクオリティ落ちるところとかはすごく面白かった。


まあゲームで何をどこまでどう描くかということについては、メジャーなRPGとかでも試行錯誤しているところではあると思うし、国内の限られた層に向けたこういうジャンルでは手薄になりがちというのはわかるんだけど、やっぱり無視してはいけない要素だと考えているので別タイトルを遊ぶときにも注意して見ていきたいと改めて思った。

重ねて書くけどエリサ本人は好きだし、最後の振袖を見たときにはやはりグッと来たので攻略じたいはそれなりに楽しめました。やってよかったと思う。


次は今作のナチュラルボーンジーニアス枠響野さんです。

ときめきメモリアル4 大倉都子 感想


地雷原を駆け抜けた3年間でした(被弾しなかったとはいっていない)

この感想では都子について好意的なことをほとんど書いていませんのでご留意ください。


とにかくやってて辛かった。

もともと共依存っぽい関係が苦手なのですが、このシナリオはそういう危うさを十二分に孕んでいながらそれを美しいものとして描いていてまずそこが無理でした。

彼女の攻略だと豹変して性格が暗くなる時期が「ヤン期」になる訳ですが、ポニテにして吹っ切れたように見える「デレ期」に至っても彼女が「治った」わけじゃない。デレ期でも他のヒロインとデートや下校をするとうさぎさんが出てくるのがその象徴でしょう。むしろ束縛や執着は深化して、主人公が都子から離れられないように彼女自身が仕向けている。

主人公の親にはすでに取り入っているし、学と正志も都子を彼女扱いしているように外堀はガッチリ埋められていて、他の女の子と関係が悪くなっても修復不可能。「命知らず」獲得のために全員出してて爆弾炸裂しまくりだったのですが、爆発時の都子の反応は背筋が寒くなりました。

正直なところ私には恋愛ではなく洗脳に見えました。トラウマエンドと名高い『君が望む永遠』の愛美ルートと構造が似てる。


主人公はヤン期以降「都子を裏切ってしまった」「辛い思いをさせてしまった」というような罪の意識を持つ訳ですが、そもそも「都子への裏切り」とは何を指すのだろうか。

都子ルートに入るまでには電話で13回「デートしようぜ」と言う必要がある。そこまでしつこく誘ったはずの主人公が「結婚式では友人代表で!」とかのたまうのは、いくらデートの概念が軽いときメモとはいえキレられて当然だろ…と思うのですが、都子のトリガーになるのは「自分に気があるそぶりを見せたと思ったら(文字通りの)ちょっかいだった」ことではなく、「ずっと主人公が特別な存在でこれからも一緒にいられると思っていたのに、主人公のほうは都子のことを単なる幼なじみだとしか考えていないばかりか、大切な思い出さえ忘れていた」ことなのでちょっとズレている。というか都子が卒業式で語った動機だと、そもそも彼女が女の子の情報を主人公に教えて世話を焼くというシステムや、13回誘うまでは「今さらそんな関係じゃないし…」と断られることと大いに矛盾する。

主人公の熱烈な電話によって都子が無意識に抑圧していた恋心が目覚めたと解釈するとしても、ヤン化のきっかけになりその後もついてまわる「うさぎさん」絡みのエピソードに納得がいかない。

主人公はうさぎさんの目のボタンが自分のものであることばかりか、彼女にとって主人公との思い出の象徴であるうさぎさんの存在自体を忘れていた。これが最大の「裏切り」ということだけど、覚えてないことが罪だとは私にはどうしても思えない。

回想のCGを見る限りおおよそ8〜10歳ぐらいの出来事なんだろうけど、人間5年も経てば大抵のことは忘れてまっせ…それにうさぎさんはあくまで「都子にとって」大切な思い出なのであって、それが主人公にとっては何でもないことなので記憶になかったというのは別に不自然ではない。ひとつの出来事に対する見方をふたりで共有するのは至難の技だし、自分と同じように思ってないことに対して傷ついた、他の女の子とデートなんて最悪だ…と言われたって知らんがな。

あと、4は2と違って幼少期編がないので、いくらゲーム内で幼なじみでもプレイヤーにとっては星川さんほかの攻略キャラと都子のスタート地点は同じです。うさぎさんはもちろんクリスマスパーティーやっただの一緒にプールで遊んだだの様々な思い出話がデレ期以降ごっそり出てきますが、タイミング的にぜんぶ後付けなので「幼なじみのラブストーリー」を演出するものとしてはペラい。

告白で「思い出より今からの私達」みたいなことを言われるけど、そのわりにこれまで築いてきた記憶にまつわる主人公の良心や同情を人質にとったような言動が多すぎ。さらに経済的にも情報的にも管理して囲い込んだ上で手にした愛情がいつまで保つのかなあと進行すればするほど冷めてしまった。


幼なじみ+電話で豹変+パラ関係なく主人公を好きでいる+マネージャーという、詩織とレイと館林さんと虹野さんの美味しい要素をぜんぶ搭載した強キャラでしたが、あまりにも設定盛り盛りすぎて断片的なデートやイベントからその子の良さを見つける楽しみがなく、一方的な好意でがんじがらめにされていた印象。

個人的には都子が情報屋でなく、うさぎさんがヤン期フラグで友人代表発言がトリガーだったらもうちょいマシだったかなと思います。


中の人はサバサバした都子と病んでる都子と正妻モードの都子(+うさぎさん)の4役を完璧に演じ分けられていて素直にうまいなあと思った。デレ期都子の猫なで声は状況の不快感も相まっていつまで経っても慣れなかったですが。


好きなヒロインに嫌がられるの苦手なビビリのため、都子は主人公に甘々ということでこの回で「遊びの王」を獲るべく全箇所回ったのですが、前述のようにデレ期都子に擦りも萌えなかったので地獄でした。

イベントでもほとんど都子しか出てこなくなるのがあまりに辛く、3年目はちょいちょい瑠依に浮気してました。るいるいマジ天使…

情報封じられてる状況で電話番号教えてもらえるし、下校LRでもうさぎさんが擬態してないし、都子の囲い込みに勝てる存在だと考えると瑠依強い(デートはバレるけど)

都子ルートから瑠依と駆け落ちする妄想とかしてたけど需要がなさすぎるので脳内にとどめておきます。


そんな訳で本当に地雷でした。最近のハーレムものだと幼なじみであるだけで負けフラグなことが多いですが、逆に幼なじみであることを特権にするとここまで理不尽になるのか…となんとなく腑に落ちるところがありました。いろんな意味で勉強にはなったかな…


次はエリサです。5ヶ月でとき修にたどり着けるのか。