さかなの調理

ゲームの感想をだらだら書きます

ときめきメモリアル4 大倉都子 感想


地雷原を駆け抜けた3年間でした(被弾しなかったとはいっていない)

この感想では都子について好意的なことをほとんど書いていませんのでご留意ください。


とにかくやってて辛かった。

もともと共依存っぽい関係が苦手なのですが、このシナリオはそういう危うさを十二分に孕んでいながらそれを美しいものとして描いていてまずそこが無理でした。

彼女の攻略だと豹変して性格が暗くなる時期が「ヤン期」になる訳ですが、ポニテにして吹っ切れたように見える「デレ期」に至っても彼女が「治った」わけじゃない。デレ期でも他のヒロインとデートや下校をするとうさぎさんが出てくるのがその象徴でしょう。むしろ束縛や執着は深化して、主人公が都子から離れられないように彼女自身が仕向けている。

主人公の親にはすでに取り入っているし、学と正志も都子を彼女扱いしているように外堀はガッチリ埋められていて、他の女の子と関係が悪くなっても修復不可能。「命知らず」獲得のために全員出してて爆弾炸裂しまくりだったのですが、爆発時の都子の反応は背筋が寒くなりました。

正直なところ私には恋愛ではなく洗脳に見えました。トラウマエンドと名高い『君が望む永遠』の愛美ルートと構造が似てる。


主人公はヤン期以降「都子を裏切ってしまった」「辛い思いをさせてしまった」というような罪の意識を持つ訳ですが、そもそも「都子への裏切り」とは何を指すのだろうか。

都子ルートに入るまでには電話で13回「デートしようぜ」と言う必要がある。そこまでしつこく誘ったはずの主人公が「結婚式では友人代表で!」とかのたまうのは、いくらデートの概念が軽いときメモとはいえキレられて当然だろ…と思うのですが、都子のトリガーになるのは「自分に気があるそぶりを見せたと思ったら(文字通りの)ちょっかいだった」ことではなく、「ずっと主人公が特別な存在でこれからも一緒にいられると思っていたのに、主人公のほうは都子のことを単なる幼なじみだとしか考えていないばかりか、大切な思い出さえ忘れていた」ことなのでちょっとズレている。というか都子が卒業式で語った動機だと、そもそも彼女が女の子の情報を主人公に教えて世話を焼くというシステムや、13回誘うまでは「今さらそんな関係じゃないし…」と断られることと大いに矛盾する。

主人公の熱烈な電話によって都子が無意識に抑圧していた恋心が目覚めたと解釈するとしても、ヤン化のきっかけになりその後もついてまわる「うさぎさん」絡みのエピソードに納得がいかない。

主人公はうさぎさんの目のボタンが自分のものであることばかりか、彼女にとって主人公との思い出の象徴であるうさぎさんの存在自体を忘れていた。これが最大の「裏切り」ということだけど、覚えてないことが罪だとは私にはどうしても思えない。

回想のCGを見る限りおおよそ8〜10歳ぐらいの出来事なんだろうけど、人間5年も経てば大抵のことは忘れてまっせ…それにうさぎさんはあくまで「都子にとって」大切な思い出なのであって、それが主人公にとっては何でもないことなので記憶になかったというのは別に不自然ではない。ひとつの出来事に対する見方をふたりで共有するのは至難の技だし、自分と同じように思ってないことに対して傷ついた、他の女の子とデートなんて最悪だ…と言われたって知らんがな。

あと、4は2と違って幼少期編がないので、いくらゲーム内で幼なじみでもプレイヤーにとっては星川さんほかの攻略キャラと都子のスタート地点は同じです。うさぎさんはもちろんクリスマスパーティーやっただの一緒にプールで遊んだだの様々な思い出話がデレ期以降ごっそり出てきますが、タイミング的にぜんぶ後付けなので「幼なじみのラブストーリー」を演出するものとしてはペラい。

告白で「思い出より今からの私達」みたいなことを言われるけど、そのわりにこれまで築いてきた記憶にまつわる主人公の良心や同情を人質にとったような言動が多すぎ。さらに経済的にも情報的にも管理して囲い込んだ上で手にした愛情がいつまで保つのかなあと進行すればするほど冷めてしまった。


幼なじみ+電話で豹変+パラ関係なく主人公を好きでいる+マネージャーという、詩織とレイと館林さんと虹野さんの美味しい要素をぜんぶ搭載した強キャラでしたが、あまりにも設定盛り盛りすぎて断片的なデートやイベントからその子の良さを見つける楽しみがなく、一方的な好意でがんじがらめにされていた印象。

個人的には都子が情報屋でなく、うさぎさんがヤン期フラグで友人代表発言がトリガーだったらもうちょいマシだったかなと思います。


中の人はサバサバした都子と病んでる都子と正妻モードの都子(+うさぎさん)の4役を完璧に演じ分けられていて素直にうまいなあと思った。デレ期都子の猫なで声は状況の不快感も相まっていつまで経っても慣れなかったですが。


好きなヒロインに嫌がられるの苦手なビビリのため、都子は主人公に甘々ということでこの回で「遊びの王」を獲るべく全箇所回ったのですが、前述のようにデレ期都子に擦りも萌えなかったので地獄でした。

イベントでもほとんど都子しか出てこなくなるのがあまりに辛く、3年目はちょいちょい瑠依に浮気してました。るいるいマジ天使…

情報封じられてる状況で電話番号教えてもらえるし、下校LRでもうさぎさんが擬態してないし、都子の囲い込みに勝てる存在だと考えると瑠依強い(デートはバレるけど)

都子ルートから瑠依と駆け落ちする妄想とかしてたけど需要がなさすぎるので脳内にとどめておきます。


そんな訳で本当に地雷でした。最近のハーレムものだと幼なじみであるだけで負けフラグなことが多いですが、逆に幼なじみであることを特権にするとここまで理不尽になるのか…となんとなく腑に落ちるところがありました。いろんな意味で勉強にはなったかな…


次はエリサです。5ヶ月でとき修にたどり着けるのか。

ときめきメモリアル4 郡山知姫 感想


いや〜〜〜楽しかった。私の中では語堂さんと双璧をなす存在です。

ふたりとも家が飲食店、デレると素直になる語堂さんに対して素直じゃなくなる郡山先輩と設定的にも対比できる部分が多かった印象。


郡山先輩の人物像として好きだったのは感情の機微とかロマンティックなものを非科学的とか非合理的とか言って片付けずに楽しめるところです。もともと化学を志す動機が「美しく在ること」なのもあって予想外に柔軟で、とにかくどこに行ってもデートが楽しかった。理論的でクールな部分とロマンチストな部分があまりケンカしてなくて、良い意味で葛藤がなく、楽しくラブコメできました。

動物園行ったらナチュラルに「パンダかわいい〜」とか言い出すし、映画でも卒業式でも泣くし、年上のお姉さん然としてるところから自爆していくし、可愛かった。追加デートのスイーツショップが特に破壊力高かったです。

青い目と鼻筋の組み合わせが個人的に好きだったのと、25歳ぐらいのOLに見える私服(ただしセンスは◎)も含めてビジュアルもお美しかった。郡山先輩は友好以下だと立ち絵が斜め向いてるのが、ときめきになるとデートでは正面を向いてくれるようになるんだよね。ちょっと気取ってたのがきちんと主人公に向き合うようになった…と解釈して萌えていた。

郡山先輩に限らずときメモ4は女の子の私服のセンス良いよね…(前田さんのときめき服が微妙なのはわざとだと思ってる)ガールズサイドも見習って欲しかったなあ…(遠い目)


ルートによってはゲスいなあと思うこともある主人公ですが、郡山先輩相手だと良い意味で典型的な天然タラシになってて快適にプレイできました。本人は一貫して真顔で真面目なんだけど、郡山先輩がその無自覚なヒーロー力に振り回されてるという関係が微笑ましかった。

しかし郡山先輩のシナリオは山も谷も荒波もなくて、良くも悪くも何も起こらなかった。強いて言うなら主人公が彼女の希望通りに理系専門大学に行くかどうかぐらいだろうか。3年目の初詣で当たり前のように主人公の志望校=理系専門大学という前提で話してたときはさすがにえぇ…ってなったけど、「もう一度私の後輩クンにならない?」というフレーズに落とされてしまったので頑張って理系500にしました。

自分の進路に問答無用で主人公を巻き込まないところがマッドサイエンティストタイプじゃなくて、あくまでもめっちゃ化学のできる普通のヒト感があって愛しかったが。GSの鈴鹿くんが主人公がどんな進路選んでても無理やりアメリカに同伴させる様などを見ているので非常に良心的だと思いました。ふたりの大学生活を妄想してニヤニヤしてるよ!

まあ3年目4月第2週とかにさっそく主人公目当てで私服で高校に来てるのはよく考えるとやばいんだけど、このゲームもっとやばい人いるからそれぐらいじゃ驚かん。愛嬌の範囲です(調教された目で)


やっぱり郡山先輩については「楽しかった」に尽きる。美容キャラを担っていながら下校時にも白衣着てる彼女が可愛かった。先輩キャラだから仕方ないけど修学旅行の布団イベントがなかったのが惜しい。絶対めっちゃ面白い反応してくれたに違いない。


次は前述した「もっとやばい人」にしてときメモ4で最も人気のあるヒロインにして私にとっては最大の鬼門である大倉都子さんです。

ときめきメモリアル4 前田一稀 感想


サッカー女子部エースでボクっ娘、という運動枠の属性としてはすごくオーソドックスな特性の持ち主でした。しかしインターハイ優勝したサッカー部の10番なのに卒業後の進路が家業の手伝い(しかも前田さんは三人兄妹の末っ子)でかなり衝撃だった。そこも含めて天才要素と天然要素を併せ持った、意外と王道を行かないタイプの子だった印象です。


最初は主人公に着替えを見られても動じないほどだった前田さんですが、主人公への恋愛感情を自覚すると自分なりに「女の子らしさ」を考えて実践するようになります。本当に彼女の攻略のときほどときめき服というシステムの素晴らしさを実感することはない。彼女のファッションの特徴として、色合わせや単純に似合ってるかで考えると明らかに普通〜友好の服のほうがセンス良いと思うんですよ。ときめきになると紫とオレンジ合わせてきたりするし、ヘアアレンジした結果の二つくくりも「そんな無理しなくても…」って感じで正直普段のポニテのほうが可愛い。最後まで一人称はボクだし、最終的に機械工を目指すところも「女の子らしく」があまり向いてなかったことを示してると思います。本人も卒業式で「これから先も女の子らしくはなれないと思う」というようなことを言うので自覚はあるようなんですけど。

もちろん主人公に気に入られようと努力して自分を変えようとする姿はやっぱり可愛いし、その上で不変の「ボク」に主人公が価値を見出すという流れは「男とか女とか関係ない」という前田さんのポリシーが貫かれた感があって良かったです。

正直なところ星川さんと同じように彼女の場合もシリアス方面のフラグがあまりなく、卒業式でいきなり湿っぽくなって「お、おう…」となりはしました。本家のほうが攻略キャラが多いのもあるんだろうけど、隠し以外はそれほど明確なストーリーがない印象(校内で自動発生するCGイベントが少なかったりとか)


一方で学校行事やデートなど過程のひとつひとつは反応が面白くて楽しかったです。

彼女は機械いじり以外は勉強ダメだし芸術的なものへの感性もいまいちなのですが、スタジアムデートに行くと専門のスポーツに対してはしっかり理屈で考えてるのがわかる。選択肢見るとニワカ嫌いそうだし、実際ちゃんとルールを理解した返答でバッチリ取れます(合宿や文化祭見てるとそのわりに練習や食事などのスポーツ科学には疎そうですが…)。元木大介タイプというか、門外漢のことにはザックリした捉え方するけどスポーツ脳はすごくしっかりしてる人。冒頭にも書きましたがありあまる才能を持つのにサッカーを進路にしないしそこに葛藤がないところも天然と天才の間にいる存在だなあと思います。

あと、ひとしきり泣くとケロッと立ち直るところや家庭環境をコンプレックスにしてないところも印象に残りました。前田さんは強いし、その強さで主人公を引っ張っていく積極性がある。若干自分勝手なところもありますが、そういう無自覚な強引さが前田一稀の魅力なのだという説得力があった。


あと彼女の可愛さは中の人の演技力もあったなあと思います。いわゆる萌えボイスでありながらもうまい具合にボーイッシュに抑えてて聴いてて心地よかったです。特にとき修の某スチルは短いながらも素晴らしかった。


余談ですが今回の攻略は特技運用がうまくいったこともあり、総合500点を維持しながらインターハイ優勝を果たすという皐月さんもびっくりの超有能主人公で進行してたのですが、そういう完璧人間が前田さんみたいなタイプの女の子を選ぶというのは傍目から見るとすごくエモいなあなどと考えていました(前田さんは苦手みたいだけど実に少女漫画っぽい)。自分で主人公をキャラメイクしてイベント補完してストーリー作れるのはときメモ屈指の長所だと思います。


次は4で個人的な友達になりたい攻略対象三傑に入る郡山さんです。果たしてちゃんとA級進路にありつけるのか。


どうでもいいけど4はやたら弁当イベントがある気がします。3人は多い。ちょっと虹野さんの影を追いすぎてるのでは…


ときめきメモリアル4 ハル 感想


デートと体調管理と爆弾管理との兼ね合いに疲れたため、紅茶出現までの残り1周は隠しキャラで行こうと思いハルちゃんこと水月春奈さんを選びました。

しかしモラル値が下がることを知らずにコンビニバイトしてしまい1周無駄にした…(阪口さんと神奈さんのフリートーク開けれたからいいけど)


語堂さん攻略がロマンティックコメディならこの攻略はハルちゃんのサクセスストーリーという感じかな。昼はケーキ屋で修行、夜は定時制で勉強…という生活がどことなくフラッシュダンスっぽかったり。

ダンサーや女優と違ってパティシエールは一夜にしてスターダムへ! ってことはないのでハルちゃんはコツコツ努力を積み上げていきますが。


交換日記のシーンはバイノーラルらしく、彼女の「こんにちは、ハルです」は耳に心地良かった。ハルちゃん一筋だったので皿を割るイベントは見なかったのですが、最初から最後まで本っ当に曇りのない子で清々しかったです。ピュア。

ときメモってどんな子でも初対面で主人公に懐いてることはないしデート選択肢間違えればときめきだろうが怒って帰るので、最初から好感度高くて一途な隠しキャラのありがたさが相対的に上がるんだよね…(よく考えるとそれはそれでやばいけど)

しかしそんな純粋なハルちゃんに対する主人公の態度は喜ばしいものではなかった…ハルちゃんが仕事や夜間部についてウキウキ語ってるのに対して脈絡なく「会えない?」とか「どんな顔なの?」とか「携帯持ってないの?」とか下心丸出しの質問飛ばしまくり。お前は出会い厨か?

昼間の学校について訊かれて真っ先に学を馬鹿にするところもなかなかクズい。ハルちゃんガン無視してて笑ったけど。

最終的に顔を合わせるのは卒業式で、ハルちゃんはめでたく可愛い子だった訳ですが、これでハルちゃんの見た目があんまり…だったら主人公絶対別人のフリして逃げてたと思う。それぐらい主人公が信頼できないシナリオでした。

4の主人公はこれ以外にも合宿風呂覗きのくだりとかせっかく本命チョコもらっても計1個だったら「もらえただけマシ」と言い放ったりとか、学を見下してるのがありえない人間性だと思っているのですが(短い台詞で的確にプレイヤーをイラつかせるのはすごい)、こういうところはまた別記事にでもまとめます…


そんな訳で受け答えはアレでしたが、それでも星川さんのイベントよりは主人公がハルちゃんの支えになっていることがわかりやすい展開でした。普段自分がいる場所と違う世界の人って貴重だもんな。

ハルちゃんは年齢的に早い段階で周りと同じレールに乗ることを辞めて自分の夢を追いかけてるので今作の攻略キャラの中でも相当しっかりしてると思うのですが、実際落ち込むイベントでも「パティシエールになれるのか」で悩んではいても「パティシエールになる選択をした自分」に対する後悔は感じさせず、強靭なメンタルを持ってる子だと感じました。現実で一緒に生きてくならこういう子がいい。

卒業式で続きのノートを手渡す、最後のデートで手繋ぎを自分からせがむなど、色々提案してくるところも年下感と積極性を感じさせて良かったです。


隠しの中でも最後以外は一切デートに行けない唯一のキャラで攻略も一本道でしたが、逆にそこが功を奏していた。因果関係やハルちゃんのキャラがわかりやすい良いシナリオでした。


次はボクっ娘サッカー少女前田一稀さんです。

ときめきメモリアル4 語堂つぐみ 感想


初週の星川さんに続いて、彼女の親友でありツンデレ文学少女であり私にとってはメインヒロインでもある語堂さんの攻略です。


改めて実感したことですが、彼女は第一印象(正確には第二印象)が本当に酷い。これはツンというよりヒスでは…という勢いのまくし立てに笑った。が、最後までいくとこの気の強さや早とちり感が語堂さんの魅力だとも思う。


私はステレオタイプな文学少女像(物静か、華奢、博識、引っ込み思案等)が嫌いで、理系属性の子には自立した発展的な性格が与えられるのに文系というだけでなんでそんなにコンサバになるんだと最近のゲームなどを見ていても思うのですが、気のキツい語堂さんもそんな「文学少女」から乖離している訳ではない。

博識で運動が苦手な眼鏡っ娘、というあたりは王道感すらありますが、彼女のいいところは文学少女につきものの「強くなれないことへのコンプレックス」を綺麗に昇華させず、美しくない形で発露していることです。

運動が苦手という点を挙げれば彼女は「どうしよう…」とオロオロするのではなく心底嫌そうに「サボろうかな」とぼやき、マラソン大会にしても年々成長はするものの前向きに乗り越えるというよりは負けず嫌いが不恰好にしがみついているという感じ。

肝試しでも失神して倒れ…みたいなことはなく、ギャルゲーの攻略対象としてギリギリのラインを攻める絶叫。

そういうかっこ悪さ、第一印象最悪の主人公に対して取り繕うものがないところが往年のロマコメをも感じさせるシナリオだったと思います。


可愛くて人気者だけどどこか頼りない親友を「守る」ことに語堂さんがこだわるのは、最初は守られる側だったことや星川さんに比べてとっつきにくい性格である自分自身への負い目だと思う。

星川さんや主人公を口実にしながら本質的に語堂さんはずっと自分と戦っています。自分をみとめてくれる主人公と出会ったことでようやく「人との関わり」を尊いものとして捉えられるようになった(ときめき弁論大会)のがその表れでしょう。

正直なところゲームでの絡みだけでは語堂さんは星川さんの親友というより過干渉な保護者という感じだし、彼女の攻略は「一見主人公は星川さん狙いである」と考えたほうが絶対美味しいので無個性主人公かつ攻略対象どうしの絡みの少ないときメモよりも会話がしっかりできるノベルゲー向きかなとは思いますが、そこら辺はうまいこと脳内補完します。星川さんとのダブルデートは特に捗る。

語堂さんが「なんで私なんかと…」とかボヤくのに対して「だって星川さんと一緒に乗ったら怒るし」とか返したい。


デートは序盤どこ行っても「わりと良い」止まりで、怒るのは上手いのに楽しむのが下手なあたりが不器用でまた愛しかった。デレてからはひたすらからかってバッチリを頂きましたが。

手つなぎやメイド服イベントで申し訳程度にテンプレツンデレ展開もありましたが、告白でごまかしを捨てて「君が好き」と言い切る直球勝負なところが彼女の最大の成長であり一貫した長所で燃え/萌えポイントでした。


初対面の地雷感やそれに反する1対1での常識的な態度、低体温な邂逅、コンプレックスの吐露やデレの不恰好さ、潔い告白と、妙にリアルな恋愛の過程を楽しみつつ、彼女の不器用さにどこか勇気づけられた良い攻略だった。


彼女もとき修が間に合わなかったのでまた戻ってくると思います。


次はこちらも映画的ラブストーリーを繰り広げてくれるハルちゃんです。

ときめきメモリアル4 星川真希 感想


ときメモGS2にオタクとしての洗礼を受けた私にとって、もはや開店休業を通り越して看板だけ残して潰れた店状態であろうとも「ときめきメモリアル」というタイトルは永遠の記念碑なのですが、思い入れが深いわりにやり込んでないなあということに気づいたので部屋の片隅で眠っていた本家4に手を出した次第です。


これももう8年前のタイトル、OP主題歌が今はなきアイドリング!!!であることとPSPのロードの長さにはじめから感傷が留まることを知らない。Keyを意識したであろう男性陣のキャスティングも味わい深い(学の台詞書いた人が春原の魅力をわかってなさそうなところも含めて)。

久々に手を出した上に初周なので特技も紅茶もなく、病気でバタバタ倒れながら辛くも星川さんを攻略することに成功しました。


星川さんは暖色ショートカットとちょっとずつ成長するという特性がどこかGSの主人公を思わせました。基本的になんでも自己解決できてしまうタイプで、学級委員になるときも生徒会に入るときも主人公がほぼ決断に関与してない。一方で主人公をグイグイ引っ張ってくタイプかといわれるとそうでもなく、パンチに欠ける印象でした。

全体的に星川さん本人が主人公タイプなのをあまり生かせてないシナリオだったなあと思います。それこそ彼女のほうが主人公を攻略してるのでは…? みたいな構成だと面白かったのにとも。

デート会話で印象に残ってるのは動物園。動物に癒される〜ではなく元気をもらってる! というあたり根っからの陽性だなあと。デートは失敗を恐れて無難なところを回り続けてしまうのですが、星川さんはどんなところでも楽しんでくれる子なのでもっとあちこち誘えば良かったです。


彼女のシナリオで最も印象に残ったのが告白のとき自分の気持ちをぶつけるだけぶつけて立ち去ろうとしたことでした。主人公がその想いに答えるのが当然最適解ですが、たぶん星川さんは主人公からボールが返ってこなくても自分で区切りをつけられたと思います。それは強さともいえるし、相手の気持ちへの配慮よりも自分へのけじめを重視する若干自分本位な面であるともいえる。

爆弾が非常につきやすいこともあり断定はできませんが、こういうところが本作の裏メインヒロインである大倉さんと対照的な点だと思います。自分の意思で委員になり生徒会に入り主人公を勧誘までしてくる星川さんと、主人公の入った部活のマネージャーになり、依存傾向の強い大倉さん。ただ、方向性が全く違うにも関わらずエンドを迎えなかった場合の後日談では「主人公から距離を置く」という似たような結果に終わるのは面白い。大倉さんを攻略したら改めてふたりの対比について考えたいです。


人としてはかなり尊敬できる良い子なのですが、いわゆるギャルゲーで人気の出る「嫁」タイプとは乖離しているので大倉さんの影に隠れてしまうのもやむなしかなという印象です。ただ、もう少しデートやイベントを細かく見ると掘り下げられるかなという気もします。

とき修も達成できず心残りが多かったので、一通りクリアしたらまた戻ってくると思います。


次はときメモ4個人的イチオシの語堂さんです。

Ever17 感想

KIDと私の宗教戦争でした。


1行目から遠慮なくネタバレするので知りたくない方は全クリしてからご覧になってください。





★★★★★★★★★★★★★★★★



ドラクエⅣとⅤのストーリーを比べるならⅤのほうが好き! という人向けのゲーム、という印象でした。そもそもゲーム自体、「ひねったドラクエⅤ」が前提にあるような感じ。

ちなみに私は断然Ⅳ派です。

あとで語りますが、KIDは本当に黒髪ロングが好きだなあ…


絶大な評判の良さと中古値段の異様な高騰通り、話の構成はすごく面白かった。

こんなところにまで伏線が⁉︎とか、あーこれはNever7のやつだ…とか画面の前でにやつきながらココ編をやっておりました。少年編はホクトがバk…少々素直過ぎてココの存在を延々と主張して宥められる展開が多く、これまだやるのかよ…と思っていたらわりと明るく種明かしされてて良かった(ココや17年涼権やホクトのギャグに辟易しなかったとは言ってない)

たぶん涼権17と涼権34の関係がクローン兄弟だとミスリードさせるつもりだったのでしょうがそこには引っかからず、なぜかつぐみと沙羅が姉妹か従姉妹だと考えておりました。なぜだ。

2次元と3次元の関係を3次元と4次元に転換してゲームのルートシステムを説明づけてるのは面白かった。視点であるはずの私はなぜか勝手に喋り出してココの彼氏になってたが、「はい/いいえ」しか喋れないマジのドラクエはADVじゃきついので仕方ないか…

種明かしがかなり綿密に練られてるので、幽体離脱したココの徘徊とか武蘇生とかホクト海にダイブとか終盤の展開がキュレイの奇跡でガサッと片付けられるのはちょっとなあ、という気もしないでもない。

とはいえ、優春に共感し優秋とは馬が合わない文系の私でも作中の理系用語がちゃんと理解できるように説明されてたし、ほどよく頭を使わせるい塩梅だったと思う。


このように種明かしは面白かったんですが、武が顔つきで出てくる辺りから真顔になる場面が増えてきて、冷凍睡眠から目覚めるところではすっかり白け、甲板の長い長いエピローグではもはやイライラが止まらなかった。

悪い意味でNever7で見た展開でした。

制作側が好きなヒロインが持ち上げられ、主人公は無駄にモテモテ、捨てヒロインと男性キャラは露骨に下げられてフォロー不十分。

特に甲板での空の扱いは、何が終わり良ければすべて良しじゃもっぺん海に沈めや武と思わずにはいられなかった…EDを担当声優に歌わせればチャラだと思ってませんか?

つぐみルートは普通に萌えたし、空ルートでも同衾してることに驚きつつIBFでの「ひとりにしないで」は心に来たし、話はつぐみが1番良いなあと素朴に思っていたのだが……

それでも空ルートで武が好きになったのは空のはずでは?

ピグマリオンとテラバイトディスクと空の恋慕は回収するけど主人公には愛する妻つぐみが…とか理不尽にもほどがあるじゃろ……

空ルートの同衾は完全になしくずしだったので結局つぐみに収束するのは正直「ハァ?( ゚д゚)」以外の言葉がない。子どもできてるのに責任回避するドクズはいくらなんでもマズいんですが、もうちょっと他に手はなかったのか…

涼権の扱いについても、億彦のことを思えば万倍マシだけど、それでもココはなんか私の彼女になってるし(できればあげたい)、17年共闘した優春も単語集見てたら武のことが好きだったと言うし、つぐみや武との後日談での会話もないし、報われないなあ…と思いました。そもそもこの作品、途中まで涼権=プレイヤーだと思ってるので、彼(のグラフィック)に感情移入するんだよな。見たこともない黒髪と金髪がいきなり作中のヒロインを虜にして「彼らがキミだったんだよ」と言われても、ぽっと出の奴らに彼女達を盗られたという印象が拭えなかった。結果的に武より涼権のほうが苦労してる時間長いのもあって腑に落ちないし、置いてけぼり感があった。 


優春/優秋は優夏を意識した「少年漫画で1番活躍するヒロイン」枠、つぐみは遥/いづみの「恋愛関係的な意味でのヒロイン」枠なんだけど、キャラ造形の引き継ぎ方が露骨で世の中みんながみんな黒髪ロング好きな訳じゃないんだぞという感じ。個人的には優夏の系統のほうが好きだし、不遇ヒロイン(沙紀/空)がいるとどうしてもそっちについてしまう。

Never7も種明かしは面白かったのにキャラ格差がかなりマイナスに響いたのだが、この作品も同様。

主人公至上主義や作者の偏愛がみえる作品が嫌いなのでキャラの扱いの面ではKIDとは仲良くできねーなとつくづく思いました。


そんなこんなで感動モノと叙述トリックは食い合わせが悪かった。このゲーム、ナンセンスに喩えると「理屈で説明できるCLANNAD」だと思うのだが、登場人物の苦労や話の展開はこっちのほうが断然しっかりしてるのに涙なんか出る気配もなかった。私はKeyというか麻枝准の書くシナリオが苦手なのですが、確かに理屈を抜いて演出で押し切るスタイルのほうが感動はするわなと納得がいきました。


キャラの作画については、CGは男性キャラ含めてそれなりの水準なのに立ち絵がおそろしくイマイチだった印象。特に空の照れ顔は見るたびに目を伏せたくなるクオリティ。なんでこれで通ったんだ?

逆に好きだったのはマグロCG、つぐみのチャミCG・押し倒しCG、優秋のエピローグCGなど。特に優秋のやつは、本作のCGにしては珍しく塗りがマットで少女漫画風味もあって良かった。


声優の演技についてはNever7のほうが巧かった印象。保志さんは本当にお疲れ様でしたという感じなんだけど、青年声はともかくショタ声はかなりキツい。ココの人も高い&遅いのでおふざけシーンがしんどくて、相対的に千葉進歩さんの株が爆上がりした。ギャグ台詞を的確なスピードで朗々と演じる技術のある人ってなかなかいないですよ。

冒頭のために必要とはいえ武親子と涼権で声優を変えてないのも気になった。少なくとも17年涼権とホクトは違う人で良かったと思うけどなあ…

浅川悠さんは情緒による声音の違いがしっかりしてて好きだった。響先輩を攻略してる気分になれました(アマガミファン並みの感想)

 

パニックものは群像劇が定石なところを、あくまでひとつの立場から進行させてるのは画期的だとも思う。が、どうもブリックヴィンケルが乗り移ってるというだけで話の重心が武親子に寄り過ぎてて、私が群像劇好きということもあって心象的にはいまいちだった。

何度も言いますが話の構成自体は本当に面白かったです。『街』を意識したというRemember11もやってみようか迷うところ。