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さかなの調理

主にゲームの感想をだらだら書きます

Ever17 感想

KIDと私の宗教戦争でした。


1行目から遠慮なくネタバレするので知りたくない方は全クリしてからご覧になってください。





★★★★★★★★★★★★★★★★



ドラクエⅣとⅤのストーリーを比べるならⅤのほうが好き! という人向けのゲーム、という印象でした。そもそもゲーム自体、「ひねったドラクエⅤ」が前提にあるような感じ。

ちなみに私は断然Ⅳ派です。

あとで語りますが、KIDは本当に黒髪ロングが好きだなあ…


絶大な評判の良さと中古値段の異様な高騰通り、話の構成はすごく面白かった。

こんなところにまで伏線が⁉︎とか、あーこれはNever7のやつだ…とか画面の前でにやつきながらココ編をやっておりました。少年編はホクトがバk…少々素直過ぎてココの存在を延々と主張して宥められる展開が多く、これまだやるのかよ…と思っていたらわりと明るく種明かしされてて良かった(ココや17年涼権やホクトのギャグに辟易しなかったとは言ってない)

たぶん涼権17と涼権34の関係がクローン兄弟だとミスリードさせるつもりだったのでしょうがそこには引っかからず、なぜかつぐみと沙羅が姉妹か従姉妹だと考えておりました。なぜだ。

2次元と3次元の関係を3次元と4次元に転換してゲームのルートシステムを説明づけてるのは面白かった。視点であるはずの私はなぜか勝手に喋り出してココの彼氏になってたが、「はい/いいえ」しか喋れないマジのドラクエはADVじゃきついので仕方ないか…

種明かしがかなり綿密に練られてるので、幽体離脱したココの徘徊とか武蘇生とかホクト海にダイブとか終盤の展開がキュレイの奇跡でガサッと片付けられるのはちょっとなあ、という気もしないでもない。

とはいえ、優春に共感し優秋とは馬が合わない文系の私でも作中の理系用語がちゃんと理解できるように説明されてたし、ほどよく頭を使わせるい塩梅だったと思う。


このように種明かしは面白かったんですが、武が顔つきで出てくる辺りから真顔になる場面が増えてきて、冷凍睡眠から目覚めるところではすっかり白け、甲板の長い長いエピローグではもはやイライラが止まらなかった。

悪い意味でNever7で見た展開でした。

制作側が好きなヒロインが持ち上げられ、主人公は無駄にモテモテ、捨てヒロインと男性キャラは露骨に下げられてフォロー不十分。

特に甲板での空の扱いは、何が終わり良ければすべて良しじゃもっぺん海に沈めや武と思わずにはいられなかった…EDを担当声優に歌わせればチャラだと思ってませんか?

つぐみルートは普通に萌えたし、空ルートでも同衾してることに驚きつつIBFでの「ひとりにしないで」は心に来たし、話はつぐみが1番良いなあと素朴に思っていたのだが……

それでも空ルートで武が好きになったのは空のはずでは?

ピグマリオンとテラバイトディスクと空の恋慕は回収するけど主人公には愛する妻つぐみが…とか理不尽にもほどがあるじゃろ……

空ルートの同衾は完全になしくずしだったので結局つぐみに収束するのは正直「ハァ?( ゚д゚)」以外の言葉がない。子どもできてるのに責任回避するドクズはいくらなんでもマズいんですが、もうちょっと他に手はなかったのか…

涼権の扱いについても、億彦のことを思えば万倍マシだけど、それでもココはなんか私の彼女になってるし(できればあげたい)、17年共闘した優春も単語集見てたら武のことが好きだったと言うし、つぐみや武との後日談での会話もないし、報われないなあ…と思いました。そもそもこの作品、途中まで涼権=プレイヤーだと思ってるので、彼(のグラフィック)に感情移入するんだよな。見たこともない黒髪と金髪がいきなり作中のヒロインを虜にして「彼らがキミだったんだよ」と言われても、ぽっと出の奴らに彼女達を盗られたという印象が拭えなかった。結果的に武より涼権のほうが苦労してる時間長いのもあって腑に落ちないし、置いてけぼり感があった。 


優春/優秋は優夏を意識した「少年漫画で1番活躍するヒロイン」枠、つぐみは遥/いづみの「恋愛関係的な意味でのヒロイン」枠なんだけど、キャラ造形の引き継ぎ方が露骨で世の中みんながみんな黒髪ロング好きな訳じゃないんだぞという感じ。個人的には優夏の系統のほうが好きだし、不遇ヒロイン(沙紀/空)がいるとどうしてもそっちについてしまう。

Never7も種明かしは面白かったのにキャラ格差がかなりマイナスに響いたのだが、この作品も同様。

主人公至上主義や作者の偏愛がみえる作品が嫌いなのでキャラの扱いの面ではKIDとは仲良くできねーなとつくづく思いました。


そんなこんなで感動モノと叙述トリックは食い合わせが悪かった。このゲーム、ナンセンスに喩えると「理屈で説明できるCLANNAD」だと思うのだが、登場人物の苦労や話の展開はこっちのほうが断然しっかりしてるのに涙なんか出る気配もなかった。私はKeyというか麻枝准の書くシナリオが苦手なのですが、確かに理屈を抜いて演出で押し切るスタイルのほうが感動はするわなと納得がいきました。


キャラの作画については、CGは男性キャラ含めてそれなりの水準なのに立ち絵がおそろしくイマイチだった印象。特に空の照れ顔は見るたびに目を伏せたくなるクオリティ。なんでこれで通ったんだ?

逆に好きだったのはマグロCG、つぐみのチャミCG・押し倒しCG、優秋のエピローグCGなど。特に優秋のやつは、本作のCGにしては珍しく塗りがマットで少女漫画風味もあって良かった。


声優の演技についてはNever7のほうが巧かった印象。保志さんは本当にお疲れ様でしたという感じなんだけど、青年声はともかくショタ声はかなりキツい。ココの人も高い&遅いのでおふざけシーンがしんどくて、相対的に千葉進歩さんの株が爆上がりした。ギャグ台詞を的確なスピードで朗々と演じる技術のある人ってなかなかいないですよ。

冒頭のために必要とはいえ武親子と涼権で声優を変えてないのも気になった。少なくとも17年涼権とホクトは違う人で良かったと思うけどなあ…

浅川悠さんは情緒による声音の違いがしっかりしてて好きだった。響先輩を攻略してる気分になれました(アマガミファン並みの感想)

 

パニックものは群像劇が定石なところを、あくまでひとつの立場から進行させてるのは画期的だとも思う。が、どうもブリックヴィンケルが乗り移ってるというだけで話の重心が武親子に寄り過ぎてて、私が群像劇好きということもあって心象的にはいまいちだった。

何度も言いますが話の構成自体は本当に面白かったです。『街』を意識したというRemember11もやってみようか迷うところ。