さかなの調理

ゲームの感想をだらだら書きます

ときめきメモリアル4 前田一稀 感想


サッカー女子部エースでボクっ娘、という運動枠の属性としてはすごくオーソドックスな特性の持ち主でした。しかしインターハイ優勝したサッカー部の10番なのに卒業後の進路が家業の手伝い(しかも前田さんは三人兄妹の末っ子)でかなり衝撃だった。そこも含めて天才要素と天然要素を併せ持った、意外と王道を行かないタイプの子だった印象です。


最初は主人公に着替えを見られても動じないほどだった前田さんですが、主人公への恋愛感情を自覚すると自分なりに「女の子らしさ」を考えて実践するようになります。本当に彼女の攻略のときほどときめき服というシステムの素晴らしさを実感することはない。彼女のファッションの特徴として、色合わせや単純に似合ってるかで考えると明らかに普通〜友好の服のほうがセンス良いと思うんですよ。ときめきになると紫とオレンジ合わせてきたりするし、ヘアアレンジした結果の二つくくりも「そんな無理しなくても…」って感じで正直普段のポニテのほうが可愛い。最後まで一人称はボクだし、最終的に機械工を目指すところも「女の子らしく」があまり向いてなかったことを示してると思います。本人も卒業式で「これから先も女の子らしくはなれないと思う」というようなことを言うので自覚はあるようなんですけど。

もちろん主人公に気に入られようと努力して自分を変えようとする姿はやっぱり可愛いし、その上で不変の「ボク」に主人公が価値を見出すという流れは「男とか女とか関係ない」という前田さんのポリシーが貫かれた感があって良かったです。

正直なところ星川さんと同じように彼女の場合もシリアス方面のフラグがあまりなく、卒業式でいきなり湿っぽくなって「お、おう…」となりはしました。本家のほうが攻略キャラが多いのもあるんだろうけど、隠し以外はそれほど明確なストーリーがない印象(校内で自動発生するCGイベントが少なかったりとか)


一方で学校行事やデートなど過程のひとつひとつは反応が面白くて楽しかったです。

彼女は機械いじり以外は勉強ダメだし芸術的なものへの感性もいまいちなのですが、スタジアムデートに行くと専門のスポーツに対してはしっかり理屈で考えてるのがわかる。選択肢見るとニワカ嫌いそうだし、実際ちゃんとルールを理解した返答でバッチリ取れます(合宿や文化祭見てるとそのわりに練習や食事などのスポーツ科学には疎そうですが…)。元木大介タイプというか、門外漢のことにはザックリした捉え方するけどスポーツ脳はすごくしっかりしてる人。冒頭にも書きましたがありあまる才能を持つのにサッカーを進路にしないしそこに葛藤がないところも天然と天才の間にいる存在だなあと思います。

あと、ひとしきり泣くとケロッと立ち直るところや家庭環境をコンプレックスにしてないところも印象に残りました。前田さんは強いし、その強さで主人公を引っ張っていく積極性がある。若干自分勝手なところもありますが、そういう無自覚な強引さが前田一稀の魅力なのだという説得力があった。


あと彼女の可愛さは中の人の演技力もあったなあと思います。いわゆる萌えボイスでありながらもうまい具合にボーイッシュに抑えてて聴いてて心地よかったです。特にとき修の某スチルは短いながらも素晴らしかった。


余談ですが今回の攻略は特技運用がうまくいったこともあり、総合500点を維持しながらインターハイ優勝を果たすという皐月さんもびっくりの超有能主人公で進行してたのですが、そういう完璧人間が前田さんみたいなタイプの女の子を選ぶというのは傍目から見るとすごくエモいなあなどと考えていました(前田さんは苦手みたいだけど実に少女漫画っぽい)。自分で主人公をキャラメイクしてイベント補完してストーリー作れるのはときメモ屈指の長所だと思います。


次は4で個人的な友達になりたい攻略対象三傑に入る郡山さんです。果たしてちゃんとA級進路にありつけるのか。


どうでもいいけど4はやたら弁当イベントがある気がします。3人は多い。ちょっと虹野さんの影を追いすぎてるのでは…