さかなの調理

ゲームの感想をだらだら書きます

ときめきメモリアル4 大倉都子 感想


地雷原を駆け抜けた3年間でした(被弾しなかったとはいっていない)

この感想では都子について好意的なことをほとんど書いていませんのでご留意ください。


とにかくやってて辛かった。

もともと共依存っぽい関係が苦手なのですが、このシナリオはそういう危うさを十二分に孕んでいながらそれを美しいものとして描いていてまずそこが無理でした。

彼女の攻略だと豹変して性格が暗くなる時期が「ヤン期」になる訳ですが、ポニテにして吹っ切れたように見える「デレ期」に至っても彼女が「治った」わけじゃない。デレ期でも他のヒロインとデートや下校をするとうさぎさんが出てくるのがその象徴でしょう。むしろ束縛や執着は深化して、主人公が都子から離れられないように彼女自身が仕向けている。

主人公の親にはすでに取り入っているし、学と正志も都子を彼女扱いしているように外堀はガッチリ埋められていて、他の女の子と関係が悪くなっても修復不可能。「命知らず」獲得のために全員出してて爆弾炸裂しまくりだったのですが、爆発時の都子の反応は背筋が寒くなりました。

正直なところ私には恋愛ではなく洗脳に見えました。トラウマエンドと名高い『君が望む永遠』の愛美ルートと構造が似てる。


主人公はヤン期以降「都子を裏切ってしまった」「辛い思いをさせてしまった」というような罪の意識を持つ訳ですが、そもそも「都子への裏切り」とは何を指すのだろうか。

都子ルートに入るまでには電話で13回「デートしようぜ」と言う必要がある。そこまでしつこく誘ったはずの主人公が「結婚式では友人代表で!」とかのたまうのは、いくらデートの概念が軽いときメモとはいえキレられて当然だろ…と思うのですが、都子のトリガーになるのは「自分に気があるそぶりを見せたと思ったら(文字通りの)ちょっかいだった」ことではなく、「ずっと主人公が特別な存在でこれからも一緒にいられると思っていたのに、主人公のほうは都子のことを単なる幼なじみだとしか考えていないばかりか、大切な思い出さえ忘れていた」ことなのでちょっとズレている。というか都子が卒業式で語った動機だと、そもそも彼女が女の子の情報を主人公に教えて世話を焼くというシステムや、13回誘うまでは「今さらそんな関係じゃないし…」と断られることと大いに矛盾する。

主人公の熱烈な電話によって都子が無意識に抑圧していた恋心が目覚めたと解釈するとしても、ヤン化のきっかけになりその後もついてまわる「うさぎさん」絡みのエピソードに納得がいかない。

主人公はうさぎさんの目のボタンが自分のものであることばかりか、彼女にとって主人公との思い出の象徴であるうさぎさんの存在自体を忘れていた。これが最大の「裏切り」ということだけど、覚えてないことが罪だとは私にはどうしても思えない。

回想のCGを見る限りおおよそ8〜10歳ぐらいの出来事なんだろうけど、人間5年も経てば大抵のことは忘れてまっせ…それにうさぎさんはあくまで「都子にとって」大切な思い出なのであって、それが主人公にとっては何でもないことなので記憶になかったというのは別に不自然ではない。ひとつの出来事に対する見方をふたりで共有するのは至難の技だし、自分と同じように思ってないことに対して傷ついた、他の女の子とデートなんて最悪だ…と言われたって知らんがな。

あと、4は2と違って幼少期編がないので、いくらゲーム内で幼なじみでもプレイヤーにとっては星川さんほかの攻略キャラと都子のスタート地点は同じです。うさぎさんはもちろんクリスマスパーティーやっただの一緒にプールで遊んだだの様々な思い出話がデレ期以降ごっそり出てきますが、タイミング的にぜんぶ後付けなので「幼なじみのラブストーリー」を演出するものとしてはペラい。

告白で「思い出より今からの私達」みたいなことを言われるけど、そのわりにこれまで築いてきた記憶にまつわる主人公の良心や同情を人質にとったような言動が多すぎ。さらに経済的にも情報的にも管理して囲い込んだ上で手にした愛情がいつまで保つのかなあと進行すればするほど冷めてしまった。


幼なじみ+電話で豹変+パラ関係なく主人公を好きでいる+マネージャーという、詩織とレイと館林さんと虹野さんの美味しい要素をぜんぶ搭載した強キャラでしたが、あまりにも設定盛り盛りすぎて断片的なデートやイベントからその子の良さを見つける楽しみがなく、一方的な好意でがんじがらめにされていた印象。

個人的には都子が情報屋でなく、うさぎさんがヤン期フラグで友人代表発言がトリガーだったらもうちょいマシだったかなと思います。


中の人はサバサバした都子と病んでる都子と正妻モードの都子(+うさぎさん)の4役を完璧に演じ分けられていて素直にうまいなあと思った。デレ期都子の猫なで声は状況の不快感も相まっていつまで経っても慣れなかったですが。


好きなヒロインに嫌がられるの苦手なビビリのため、都子は主人公に甘々ということでこの回で「遊びの王」を獲るべく全箇所回ったのですが、前述のようにデレ期都子に擦りも萌えなかったので地獄でした。

イベントでもほとんど都子しか出てこなくなるのがあまりに辛く、3年目はちょいちょい瑠依に浮気してました。るいるいマジ天使…

情報封じられてる状況で電話番号教えてもらえるし、下校LRでもうさぎさんが擬態してないし、都子の囲い込みに勝てる存在だと考えると瑠依強い(デートはバレるけど)

都子ルートから瑠依と駆け落ちする妄想とかしてたけど需要がなさすぎるので脳内にとどめておきます。


そんな訳で本当に地雷でした。最近のハーレムものだと幼なじみであるだけで負けフラグなことが多いですが、逆に幼なじみであることを特権にするとここまで理不尽になるのか…となんとなく腑に落ちるところがありました。いろんな意味で勉強にはなったかな…


次はエリサです。5ヶ月でとき修にたどり着けるのか。